時計塔の見聞録・悪夢の巻

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長い年月の間、時計塔では数々の奇妙な現象が起こり、数えきれないほどの勇敢な探検家が解明を試みたが、現状、何の調査結果も得られていなかった。時計塔に足を踏み入れた探検家のうち、生きて帰った者はいないからだ。ギルバートとその仲間たちも他の探検家たちと同じように、アルデバランへの愛情と恐れぬ勇気を抱いて未知の旅へと踏み出していった。その先に待ち受けているのがどれほど厳しい試練なのか、彼らは知らなかった。時計塔はすでに悪魔ヨルムンガンドの手によって、残酷で血生臭い処刑場になっていることを彼らは知らなかった。悪魔の瞳に同情など映るまい。奴はユミルの心臓の力を利用している。それに、大賢者が残した黄金時計までもが時空の異変を加速させる手段として用いられていた。しかしそれについても、やはりギルバートたちは知らなかった。一瞬にして時計塔内には混乱した時空によって恐ろしい時間の渦が無数に生み出され、その渦に足を踏み入れた仲間たちは一人残らず永遠にこの世界から消えてしまった。ギルバートも仲間たちと同じく、分裂した時空に飲み込まれた。だが彼は幸運にも機転を利かせて危機を免れた。しかし仲間たちは永遠に彼の元からいなくなってしまった。見慣れた姿が時空の通路を通って、無数の並行世界の果てに消えていく様子が彼の瞼に焼きついた。すべてを理解したギルバートは恐れて逃げ出すことはなく、おのれの任務を最後まで貫き通すことにした。目の前にいる冷血な殺人鬼の悪魔に向かって、彼は勇気に満ちた魂を振り絞って最後の一撃を繰り出した……